本研究室では、主に下記の内容について研究を行っています。

III-V族半導体ヘテロ構造

結晶成長グループ

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有機金属気相成長(metal-organic vapor phase epitaxy MOVPE)法により、III-V族半導体材料を結晶成長しています。加熱した単結晶基板に材料ガスを吹き付けると、基板表面付近で熱分解されて原子が基板に付着します。このとき、付着した原子は、単結晶基板の結晶情報(結晶面方位や格子定数)に対して一定の関係を持つように並びます。これをエピタキシャル成長といいます。 有機金属気相成長法では、さらに異なる物性を持った半導体材料の接合(ヘテロ接合)をエピタキシャル成長させることができます。本研究室では、おもにInP/InGaAsGaInP/GaAsといった半導体材料のヘテロ接合について研究を行っています。

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半導体デバイスプロセスグループ

オシ郎氏は、電子工学科の公式キャラクターである。キャラの持つ機能のために、三次元化しても「ゆるキャラ」にはなれない。

ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(hetero-junction bipolar transistor:HBT)をSVBLのクリーンルームで作製しています。

フォトリソグラフィーやエッチングなどの半導体プロセスを経てヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)を作製し、その評価をおこなっています。HBTはバイポーラトランジスタのエミッタ層を改良することで高い性能を持たせています。

トランジスタの用途

トランジスタは増幅とスイッチングに使われています。

たとえば、ラジオ。空中を伝わってきた極めて微弱な信号の強弱を拡大(増幅)して、スピーカーを鳴らす。こんな働きをするのがトランジスタの増幅作用です。この場合はアナログ信号の場合でしたが、コンピュータなどで使用されるデジタル信号では、トランジスタは0と1を切り換えるスイッチの役割を果たしています。最近では全ての電化製品にトランジスタが使用されています。

トランジスタの仕組み

トランジスタの働きを水道の機構にたとえてみます。トランジスタには3 本の足があります。それぞれエミッタ、ベース、コレクタといい、ベースは水道の栓、コレクタは蛇口、エミッタは配管と考えることができます。水道の栓を小さな力(ベースへの入力信号)でコントロールする事ことで、蛇口から出る大きな水の量(コレクタに流れる電流)を調節します。こんなふうに考えれば身近な感じで理解できます。

実際は・・・電子の動きによってトランジスタは制御されています。これをもう少し詳しく説明します。

npn 型バイポーラトランジスタでは,エミッタからコレクタに向かって流れる電子の量を、ベース電流(ホール電流)により制御し動作させています。ホール電流を増やすことによりコレクタ電流が増大します。しかし、ホール電流を更に増やすとベースからエミッタに向かってホールが漏れ出し、トンジスタの電流増幅率が低下してしまいます。そこで・・・

エミッタにバンドギャップの大きな半導体材料を用いると、ベース・エミッタ界面に障壁ができ、ホールのエミッタへの漏れを抑えることができます。これにより、電流増幅率を低下させずにコレクタ電流を大きくすることができます。これが、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)です 。

ヘテロ接合バイポーラトランジスタ (HBT) の用途

ベース抵抗を低減させることで、トランジスタの増幅率を上げることができます。ベース抵抗を低減するには、ベースを高濃度化します。しかし、バイポーラトランジスタでは、ベースを高濃度化すると、ベースからエミッタへホールが注入され、逆に増幅率が下がってしまいます。ヘテロ接合バイポーラトランジスタでは、エミッタ・ベース間の障壁によりこの注入が抑えられ、ベースの高濃度化が可能になります。高濃度化によりベース抵抗を低減できるためベースを薄層化でき、それにより、ベース中での電子の走行時間が短くなります。その結果トランジスタの応答速度の増大,すなわち高周波動作が可能になります。このように HBTは大電流・高周波動作といった次世代移動体通信用パワー素子(携帯電話など)に適した特徴を備えています。

野崎・内田研究室のHBT

MOVPE装置によりエミッタ、ベース、コレクタに積層化したInGaP/GaAs HBTに、フォトリソグラフィにより基板上に形成したパターンの加工にウエットエッチングを施し、これを繰り返し行い各層の面だしをしています。更に、各層の露出した面に電極を取り付けて始めてデバイスとして動作します。

低温酸化膜を用いたデバイスの作製と評価

半導体集積回路のさらなる発展には絶縁膜の質が重要な要素の一つです。現在、絶縁膜としては主にシリコン酸化膜が用いられていますが、その作成方法はCVD法・スパッタ法・熱酸化などです。しかし、これらの方法では熱などによって下地に影響を与えてしまいデバイス作製の妨げとなってしまいます。このように、酸化プロセス中の熱による欠陥発生やストレス発生は抑制する必要があり、低温酸化プロセスの開発が望まれています。

そこで、下地に影響を与える事なく、低温かつ容易に酸化膜を作製する方法として、SiO超微粒子の真空蒸着によるシリコン酸化膜の作製に着目しました。

ITO透明電極によるLEDの大面積発光

大面積LED

LED (light emitting diode) は、主に可視光発光ダイオードと赤外発光ダイオードに分類され、前者はディスプレイデバイスとして用いられ、身近なものとしては電光掲示板や信号機などに用いられています。後者は光通信などに用いられ、身近なものとしてはリモコン等にもちいられています。

LEDは一般電球に比べて、寿命が長く、高輝度・小型・低電力であるという利点があり、様々なところで使われ始めています。 しかし、現在のLEDは、発光する面積が一般的に0.3mm~0.5mm角の大きさしかありません。発光する面積を大きくすると、電気の流れがうまくいかなくなり、一様な光が得られないのです。

ITO (indium tin oxide)

ITO(インジウム・スズ酸化物)電極は、電気が流れやすく、可視光を通すことのできる物質をもちいた電極のことです。

一般的に、可視光領域の波長(380~780 nm)で80~90%の透過率をもちます。また、電気の流れにくさ(比抵抗)が10-3~10-4 Ωcmと低いため、よく電気を流すことができます。本研究では、このITO透明電極を使うことで、電気を広げLEDの発光面積を広げる試みを行っています。

走査型プローブ顕微鏡 (scanning probe microscope: SPM)

SPMとは、探針(プローブ)を走査することで原子・分子を見る顕微鏡です。 研究では、走査型トンネル顕微鏡 (scanning tunnel microscope: STM) と、 原子間力顕微鏡 (atomic force microscope: AFM) を使っています。

STMの原理

試料と探針に電圧をかけながら近づけると、微弱な電流(トンネル電流)が流れます。 その電流が一定となるように試料表面との距離を制御しながら探針を走査していきます。 探針は試料表面をなぞるように動くので、表面の凹凸を描像することができるます。

SPMの特徴は、分解能が水平方向で1Å、垂直方向で0.1Å程度と非常に高いことです。


Last-modified: 2010-03-04 (木) 20:30:38 (3304d)